《27年度林棲俳句会》

平成27年度林棲俳句会開催日一覧表
◆2月吟行「池上梅園」◆
立春の翌日、柔らかな日差しの快く、あたたかな日でした。
今年は暖冬の影響で早々と梅の開花の知らせがありましたが、池上梅園はまだ三分から五分咲きといったところでした。ここは二度目でしたが、今回はまだ2月初めでしたので、人出も少なくて、ゆったりと梅見ができました。梅見のあとは本門寺を通り、池上会館で昼食。会館の一室で句会となりました。

日だまりに腰据えるごと梅三分    建之
水琴窟春立つ音となりゆけり     了晟
しばらくはこの静けさに梅三分    みよ子
日蓮の入滅の堂冴え返る       該吉
枝々の光りの空や春来る       貞雄
落第の報や冷えゆく祝ひ鯛      かずえ
芋棒の少し無骨やあたたかし     のぶ子
霞みゐて側室の墓崩れさう      ゆき子

◆1月句会◆
新年でしたので、吟行はせずに、兼題で句を詠むことにしました。
12時に集まり昼食後に句会。終了後17時から新年会を鮨店でしました。

寒晴や賽銭箱に夢も入れ       建之
着ぶくれて人は向き合ふおのづから  孝子
明らかに酔つてゐる声初電話     該吉
LEDの青き瞬き月冴ゆる      了晟
初御籤誰にもつげず結びをり     みよ子
蝋梅の花に夕日の透き行きゆけり   のぶ子
除夜汽笛はるかあまたの灯の窓に   ゆき子

◆12月吟行「港の見える丘公園」◆
地下鉄「元町中華街」駅からまず山下公園に行きました。園では薔薇園の手入れが重機を使って大々的に行われていて、咲き残っている冬薔薇たちがちょっとかわいそう。
良く晴れて風のない日で、海辺を歩いても寒さを感じず、その点、12月の句づくりに一同苦労したと思います。
港が見える丘公園まで登って行き、昼食。
大佛次郎記念館の一室をお借りして、句会となりました。豪華なしつらえの部屋で、小人数ではちょっともったいない気がしました。自身の俳句は豪華とはいきませんでしたが。

日向ぼこ真正面に氷川丸      該吉
動くものみなひかりゐて冬の凪   みよ子
冬晴や港の見えるレストラン    了晟
冬薔薇根ごと起こされ培へる    のぶ子
北風や愛の母子像かがやかす    孝子
工事音冬薔薇ふるへやまざりき   ゆき子

◆11月吟行「東京港野鳥公園」◆
水鳥が飛来しているか心配していましたが、園の潟にはいつもいる鵜と鷺と、鴨の群れもたくさん泳いでいました。
観察小屋から眺めたりして、楽しみつつ句を詠み、帰り際に田畑の方に行きました。刈り取られた稲田や畑を眺め、すっかり乾いた稲の束を見たりしていました。田から新しい蘖(ひこばえ)が出ていたので、季語でもある「ひつじ田」のことなど話し合ったりもしました。
大森駅近くに出て昼食、エセナ会館で句会となりました。

木の実落つ我が前うしろ音たてて  のぶ子
木漏れ日やまことに淡き返り花   了晟
考へてゐしこと消ゆる草紅葉    孝子
それぞれに生きた形の木の葉かな  みよ子
小春日の稲の周年ものがたり    貞雄
鴨の陣ととのふ鵜が去り鷺が去り  ゆき子

◆10月吟行「鎌倉」◆
台風並みの低気圧が夜から朝にかけて襲来との予報で、集合時間を30分遅くしました。
関東地方は予報ほどのことはなく、晴れた鎌倉を歩くことができました。
「川喜多映画記念館」では、笠智衆をはじめ久我美子などの俳優たちを偲び、小津映画の様々な場面の展示に感慨を覚えました。
鶴岡八幡宮を少しだけ見て句会場へ。八幡宮へのお参りは句会終了後となってしまいました。やはり始まりを遅くしたしわ寄せが来たようです。

何処をどう歩きても古都秋の声   みよ子
長き長き黒き板塀秋の蝶      のぶ子
雨あとの風の匂へりこぼれ萩    該吉
思い出の輝き増せり鰯雲      貞雄
白鳩のくぐもる声や秋の宮     了晟
揺れながら色深めたり実紫     ゆき子

◆7月吟行「井の頭公園」◆
梅雨時なので雨は覚悟していましたが、朝から激しい降り方でした。電車が不通となる箇所もあり、出席できなかった人もいました。このような中、吟行するのは大変でしたが、雨具を身につけて7名で井の頭公園を歩きました。雨の中でも様々な草花などを目にして、句づくりに励みました。
予約していた店に早めに入り昼食。食後に会場を移っての句会となりました。

心身の芯まで冷えて男梅雨     了晟
河骨の葉隠れに咲く黄の深し    孝子
梅雨寒や丼物で暖をとり      建之
梅雨に入る口にとろける親子丼   貞雄
夏木立武蔵野の雨白く降る     みよ子
源流と聞くより涼しかへりみる   ゆき子

◆5月吟行「等々力渓谷」◆
連休直前、好天に恵まれましたので、朝の等々力駅には待ち合わすグループが何組か見られました。
渓谷に降りると上流は淀んでいましたが、途中の崖や川淵から湧水が滲み出て、川に入り、澄んだ流れとなっていきました。新緑の木々を見上げると都内にいることを段々忘れて、楽しく散策でき、吟行ムードになったようです。
昼には大井町線で大井町近くの中小企業センターまでもどり、昼食後句会をしました。

木洩れ日のつつじ一花に移りけり   孝子
緑さす木漏れ日奥の太子像      建之
初夏の際立つ影を踏みて来る    のぶ子
渓谷に古き石組水馬         貞雄
新樹光地を這ふ虫も飛ぶ鳥も    みよ子
街騒を遮り大樹茂りゐる      了晟
湧水や龍の口より滝となり     該吉
深淵のやうに空あり谷若葉     ゆき子

◆4月吟行「飯田蛇笏、龍太ゆかりの山廬を訪ねる」◆
《場所》笛吹市境川町「山廬」、甲州市勝沼「ぶどうの丘」

かねてより申しこんでおいた飯田蛇笏(だこつ)、龍太の旧居である山廬(さんろ)を拝見できることとなり、一泊での吟行となりました。
*「山廬」は、山梨を代表する俳人、飯田蛇笏の別号であるともに、蛇笏、龍太父子の居宅であり、俳誌『雲母』の拠点ともなりました。「山廬」という呼称は、蛇笏が「山の粗末な建物」と自らの居宅、あるいは「そこに住むもの」としてつけた造語であるとのこと。*

運よく晴れて暖かい日でした。石和温泉駅からタクシーでまず飯田家の墓所に寄り、蛇笏、龍太の墓に詣でました。龍太独特な風情ある文字の墓碑銘に感慨を覚えました。
山廬というには、予想以上の立派なただずまいの旧居には、約束の1時半より少し早く到着。屋敷の内の蛇笏、龍太の机や墨跡などを、ご長男の秀實様にご案内いただき、拝見。
家の裏手の狐川や後山など、龍太作品に登場しているゆかりの場所を案内していただきました。後山の坂を登ると桃畑で、いつもは桜が散ってから咲く桃が早や咲き始めたそうで、桜と一緒に桃の花も見ることができました。
3時間にもわたって案内してくださった秀實様ご夫妻に感謝しつつ、甲州盆地の桃畑の中を今宵の宿、勝沼の「ぶどうの丘」へ。
見下ろせば桃畑、見上げれば甲斐駒や八ヶ岳、アルプスなど連山を一望にする宿に着き、温泉入浴と食事の後、それぞれ俳句創作に励みました。
翌日は会議室を借りて句会。帰りがけに慈雲寺の見事な枝垂れ桜を見られたのは望外のことでした。

花月夜眼下に甲斐の古戦場     みよ子
卓上に大きな硯椿落つ       孝子
たらの芽や後山急峻登り来て    貞雄
花辛夷山廬の裏を川流れ      了晟
山峡の水の光や春闌けぬ      のぶ子
行く春の営み包み甲斐の山     建之
表札に飯田龍太とあたたかし    該吉
春の川流れもう見ぬ紺絣      ゆき子

 

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